落雷の人体への影響

万が一のために私たちの体への影響を知っておきましょう

わたしたちの体は電気を通しやすい性質をもっています

人体は、落雷の電流に対して導体(電気を通しやすい性質)です。
落雷の電流は、体内または皮膚表面を流れることにより人体に様々な損傷を引き起こします。
ただし、皮膚表面は、体内に比べると電気抵抗が高いという性質の違いがあります。


雷による被害には主に4つの症状があります

心肺停止(心臓の停止と呼吸の停止)
落雷死亡事故のほとんどは、雷の大電流が体内(頭部から上半身)を流れることによる心肺停止であり、ほとんどが即死となります。雷撃を受けた人が死に至るかどうかは、体内を流れる電流の大きさと時間によりほぼ決まります。落雷を受けて心臓の停止、呼吸の停止が認められた場合でも、現場での心肺蘇生法の実施により救命された例があります。心肺蘇生法の開始は早いほど有効です。心肺蘇生法についてはこちら

熱傷(やけど)
受傷者の多くは軽症で、早期に治癒します。それは、電流の大部分が、短時間に体の表面を流れ、体内を損傷するほどの深さに達しない為です。しかし、落雷の電流には、低い値の電流が長い時間流れる連続電流と呼ばれるものがあり、それを受けた場合、深い熱傷を起こします。また、可燃性の衣服を着用の場合、中等程度以上の深さとなる可能性があります。落雷による熱傷では、皮膚表面を電流が流れることによる電紋(でんもん)と呼ばれるシダの葉のような模様が現れます。

意識障害
落雷の電流が頭部を流れることによる一過性の意識障害がしばしば見られます。

鼓膜穿孔(こまくせんこう)
一般に「鼓膜が破れた」と言われる状態で、よく見られる所見です。原因として、間接的な爆風、または熱傷、音響外傷、爆風、電流の直接作用などが挙げられます。

その他
神経痛や知覚異常などの訴えが長引く例がありますが、多くの症状は、初期に重症感を呈していても治療によく反応し速やかに回復します。
後遺症や遷延死(症状が長引いた後に死亡すること)も稀に起こるため、いずれにおいても十分な経過観察が必要となります。

体内電流・沿面放電

体内を電流が流れることを「体内電流」と言います。心臓、脳髄などの重要器官に通電することにより、人体に致命的な損傷を与えます。一方、落雷の電流が人体の皮膚表面を流れることを「沿面放電」と言います。体表面に流れた電流が大きいと、その一部は、体内電流となって体内を流れます。沿面放電が体表面の一部分に終わる例は「部分沿面放電」と呼ばれ、ほぼ全身長にわたり起こる例もあります。沿面放電は、主に熱傷(やけど)などの外傷の原因となりますが、多くの場合、その損傷は表層性で比較的軽度に終わります。ただし、全身長にわたる沿面放電は、いわゆる爆風を発生し、重篤な損傷を起こす場合があります。