人体への雷撃パターン

人体への雷撃パターンは主に7つあります

雷の電流は物や人から飛び移ってきたり、地面から流れてきたりすることがあります。

直撃

人体が落雷の主電流に直接打たれることを言います。多くの場合は大電流が体内を流れるため、死亡する可能性は極めて高く、落雷の直撃を受けた場合の死亡率は約70~80%(雷撃後に、何も処置しなかった場合は約90%)であることが、統計結果や動物実験から推定されています。

側撃

落雷を受けた物体や人からその落雷電流が別の物体(人)に飛び移ることを言います。人体が側撃を受けるパターンとしては、“木から人”、“人から人”などのケースが多く、特に雨宿り中の木からの側撃は、落雷死亡事故原因の直撃に次ぐ2番目に挙げられ、死亡する可能性が極めて高い雷撃パターンです。

分岐放電

落雷の電流が大気中で分岐して、複数地点に落ちることを言います。一度に複数の死傷者を出す危険性があります

歩幅電圧

地面に接している2点間の電位差に起因し、2点間を流れる電流のことを言います。落雷点の近傍に立っている人の両足間に通電した場合、心臓までの通電量は全電流の0.4%以下といわれており、これにより死亡する危険性は極めて低く、多くの場合軽症に終わります。腹ばいの姿勢の場合もこの歩幅電圧の電流が体内を流れますが、心臓への通電の可能性が高くなるため危険性が増大します。

爆風

落雷に伴う爆風により人体が損傷を受ける場合があり、爆傷と総称されます鼓膜穿孔などの症状はしばしば起こります。間接的な爆風による損傷は、中症以下の場合がほとんどですが、自らが受けた沿面放電の火花により、体表面、特に上半身の着衣などに含む汗が瞬間的に気化して爆風が増強することがあり、頭蓋骨骨折や肺・肝臓などの破裂を起こし、死に至る場合があります。

誘導電流

雷が落ちた際に、落雷の電流による電磁誘導※によって近傍の人に落雷電流と逆方向の誘導電流※※が流れます。人体に誘導電流が流れた場合、短時間意識を失う、目眩(めまい)、頭痛などの症状が現れますが、比較的軽症に終わります。
※電磁誘導:磁界の変化によって電流が流れること
※※誘導電流:電磁誘導によって流れる電流のこと

コロナ放電

落雷に伴い、周辺の物体(人体)から上向きに発生するごく短時間の微小の電流のことを言います。多くの受傷者は、髪の逆立ちを感じ、頭を打たれたような衝撃により倒れたり、一瞬の意識喪失、しびれなどを訴えますが、軽症で早期に回復することがほとんどです。