取材年月:2015年09月
L県総体事務局では、Lightning Scope+を、屋外競技を安全に運営するための気象情報収集システムとして活用しました。
活用の概要は次のとおりです。
大会期間中は、事務局内に担当職員が宿直体制で泊まり込み、気象情報を24時間体制で監視しました。
24時間監視といっても、パソコン画面を24時間にらみつづけるわけにはいきません。「異常があった場合はLightning Scope+から知らせがくる」というかたちで運用しました。
具体的には、事前設定した「注意エリア」、「警戒エリア」に雷が落ちると、Lightning Scope+の入ったパソコンから警報音が鳴る、という仕組みです。雨量についても一定量を超えた場合には警報が鳴るよう設定しました。
警報音が鳴ると、それを聞いた担当職員は、ただちにパソコン画面を見て、雨雲、風向き、雷に関する情報を認識し、その後ただちに各競技現場の運営責任者に電話連絡して気象情報を知らせます。
競技現場の運営責任者には、自分たち周辺の天気のことしか分からないので、事務局からの「南東20キロ地点で雷が鳴った。雨雲も大きい。風向きも南東からなので、しばらく後にそちら競技場にも雷雨が起こる可能性がある」といった情報は、非常に役に立ちます。
今回、屋外競技を開催する場所は比較的、雨や雷が多い場所です。それに加え、近年はゲリラ豪雨など突然の豪雨、雷雨も多発しています。
こうした前提を考えると、競技する生徒の安全を確保し、大会を円滑に運営するためには、雷雨情報を的確に収集するがしくみが必要であると思われました。
このしくみに求める要件は「雷雨情報が、正確に、分かりやすく、タイムリーに取得できること」となりますが、Lightning Scope+はこれら条件をよく満たしており、また各種スポーツ大会での導入実績も豊富だったので、これを採用しました。
L大会期間中、前半はずっと晴れでLightning Scope+の出番はありませんでした。しかし後半の、あるときに会場からやや離れた場所で落雷がありました。現場にその情報を伝えたところ「一時中断」 ということになり、その後しばらくして、競技会場周辺には落雷を伴う土砂降りの雨が降りました。Lightning Scope+があったことで、迅速、的確な対応が可能になったといえます。
この他、実際に使ってみて実感したことは、「電話サポートでリアルタイムの情報が得られたことが非常にありがたかった。これがなかったら困ったことになっていた」ということです。
Lightning Scope+の画面はビジュアルで分かりやすいので「雷が落ちた」「大きな雨雲が迫っている」「風が強く吹いている」など基本的なことは、素人でも画面を見れば直感的に分かります。
しかし画面の片隅で小さいながらも雨雲がふつふつと湧き上がっているような、「よく分からないけど何だか怪しい」という現象については、フランクリン・ジャパンの気象予報士に電話して、プロの判断を仰ぐ方が適切だと考えました。
大会期間中、少なくとも数回は電話していますが、フランクリン・ジャパンの気象予報士のみなさんは電話の向こうで、私たちが見ているのと同じ競技場周辺の気象情報の画面を見ながら、不可解な気象情報についてプロの見解をその場で教えてくれました。
この「その場で」というのが重要なところです。知りたいのは「競技を今、中断してよいか」「競技を今、再開してよいか」を判断するための情報です。つまり 「いま」分かることに価値があるので、「調べてから30分後に折り返しご連絡します」というサポートではまったく役に立ちません。
もちろんフランクリン・ジャパンからは、必ず「その場で」回答がありました。おかげで私たち事務局は、競技現場の運営責任者に正確かつタイムリーに情報を伝えることができました。
今回もし雷情報システムがなかったら、あるいはシステムはあっても電話サポートがなかったら…と考えると、その場合は結局、競技現場の運営者が空を見上げ ながら、経験とカンを元に競技の中断・再開を判断することになっていたでしょう。それを思えば、今大会では、確かな情報に基づいて根拠ある判断ができたの は良いことでした。
スポーツ大会の性質や規模にも依る部分もあるかと思いますが、システムがあった方がより確実な根拠にもとづいた判断ができることは、まず間違いないと思います。
今回、Lightning Scope+の活用により、事務局として「競技現場への正確かつタイムリーな気象情報の提供」という責務を果たすことができました。フランクリン・ジャパ ンには、今後とも優れたシステムとサポートを通じて、全国の体育大会の円滑・安全な運営に貢献する活動を続けていただくことを希望いたします。今回はどうもありがとうございました。