取材年月:2014年12月
びわ湖バレイでは、山頂のお客様の安全確保と、各種設備の保全のために、フランクリン・ジャパンのLightning Scope+を使って、
雷情報を収集しています。
Lightning Scope+をインストールしたパソコンは、麓の事務所に一台、山頂の事務所に一台、それぞれ設置されています。
業務時間中は、事務室内のパソコンの画面上に、Lightning Scope+の雷情報(および気象情報)が常に映し出されています。情報は、常にスタッフの関心の対象となっています。
雷の危険はチャイム音で知らされます。チャイム音が鳴ると、スタッフはそれぞれ「心の準備」をし、その後、雷がさらに接近した場合は、実際の行動を起こすことになります。
山頂のスタッフは、お客様向けにアナウンスを流して、速やかな下山を促すことになるかもしれませんし、麓のスタッフは、過電流による電気設備の損傷を防ぐために、主要な電気製品や設備の電源を切るなどすることになるかもしれません。
雷の危険が高まったときの行動マニュアルのようなものは特に定めていません。現場スタッフ各自がプロとして自主判断します。
Lightning Scope+の通信方法は衛星回線とインターネット回線から選択できますが、山中はネット回線状況があまり良くないので、びわ湖バレイでは衛星回線を通じて取得しています。
Lightning Scope+の表示画面
びわ湖バレイのような、ロープウェイなど索道設備を移動手段とする山頂レジャー施設は、
平地の施設に比べ、雷に迅速、確実に対応することが、いっそう重要になります。
まず山頂は平地に比べ、空(雲)との距離が近いので、雷がより落ちやすく、また視覚的にも音響的にも恐怖感が増します。経験すると分かりますが、山頂で豪雨や雷に遭うのはとても怖いものです。
雷がさらに接近した場合、お客様の安全を確保するために、速やかな避難、
下山を促す必要があります。
またロープウェイで行く山頂施設では、麓と山頂を結ぶ移動手段は、多くの場合、ロープウェイしかありません。ということは、もし落雷の影響でロープウェイ の運行が停止した場合、お客様を山頂から麓に下ろすのが極めて困難になることを意味しています。道路も通じてないので他に代替手段もありません。
山頂は天気の変わりやすい場所です。お客様の安全を確保するためにも、雷情報を確実に収集し、
早めに状況判断し、先手の安全行動を取る必要があります。
従来、雷の状況は、天気予報など一般情報と、現場での目視に基づいて判断していました。
もっと詳細な雷情報が分かれば良いとは以前から考えていましたが、
びわ湖バレイのような、ネット回線状況も良好でない山中では、ネットによるリアルタイムの情報収集には無理があると思い、諦めていました。
そんな折、フランクリン・ジャパンという雷情報サービスの専門会社があると知り、まずは説明を聞きました。
技術力や情報力はしっかりしているようですし、気になる回線接続についても、衛星電波を使うことで対応可能と説明があったので、まずは試用してみることにしました。
その結果、情報内容、回線状態、共にびわ湖バレイでの本格活用に耐えうると判断できたので、これを採用することに決めました。
2013年5月のことです。
導入後は、次の2つの効果を実感しています。
雷は、豪雨や台風などと違い、「いきなりドカンと来る」という特徴があります。
天気の変わりやすい山頂では特にそうです。
従来は、雷の状況を、天気予報と周辺状況の目視確認を通じて判断していたので、お客様アナウンスや機器電源オフなど各種行動は、雷が目に見える範囲、耳に 聞こえる範囲で鳴ってからの対応になっていました。
要は、「雷が鳴った、大変だ、直ちに対応せよ」というようバタバタした進行でした。
しかしLightning Scope+の導入後は、びわ湖バレイから数十キロ離れた場所の雷状況でも、
パソコン画面上で認識できるようになりました。
兵庫の東の山中に雷雲が発達している、その雷雲はもしや上空の西風に乗ってそのまま琵琶湖に来る……?、それとも……?
このように判断に迷うときは、まずフランクリン・ジャパンの気象予報士に電話して、
その後の雷状況の予測についてコメントしていただき、その情報を元に行動計画を立てます。
正確な雷情報の事前入手が可能になり、すべての行動を前倒しで余裕を持って実施できるようになったことは、
Lightning Scope+ 導入の大きな成果です。
雷、豪雨、強風など天候が極度に悪化した場合は、ロープウェイを止める、あるいは山頂のお客様を下山させるなどの安全対応を取る必要がありますが、しかし、それら「最終手段」を乱発すると、遠方からわざわざ、びわ湖バレイに来てくださったお客様をがっかりさせることにもつながりかねません。
安全確保とお客様満足のバランスを取るのは難しいことですが、ひとつ言えることは、
あらゆる判断は根拠をもって為される必要があるということです。
Lightning Scope+の導入により、重要な判断を、詳細な情報を根拠に下せるようになりました。
ロープウェイを止めることは会社の収益にもダイレクトに影響します。
重要判断が根拠を以て行えるようになったのは大きな前進です。
Lightning Scope+は、天気の変わりやすい山頂で営業している索道施設にとっては、非常に役立つシステムだと思います。
即導入が難しいとしても、一度、試験利用する価値は十分にあると思います。
今回、Lightning Scope+を導入したことで、びわ湖バレイの施設運営体制は大きく改善されました。
フランクリン・ジャパンには、引き続き、優れた技術とサービスを通じて、
びわ湖バレイのお客様安全確保の取り組みを後方支援していただくことを希望します。今後ともよろしくお願いします。
びわ湖バレイ様、本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。
取材制作: カスタマワイズ