導入事例

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取材年月:2017年03月

ふなばしアンデルセン公園 様

Introduction

野外テーマパーク来場者の安全確保にLightning Scope+を活用
アンデルセン公園のシンボル「デンマーク式風車」

Profile

ふなばしアンデルセン公園は千葉県船橋市にある緑豊かな都市公園です(※)。
公園内のワンパク王国ゾーンには大すべり台や森のアスレチックなど多くの野外遊具が設置され、にじの池では水遊びも可能です。園内では春はサクラ、夏はひまわり、秋はコスモス、冬はアイスチューリップと、どの季節に訪れても花が楽しめます。昨年度の入園者は90万人超。トリップアドバイザーの「トラベラーズチョイス 世界の人気観光スポット2015」のテーマパーク部門で、東京ディズニーランド、東京ディズニーシーに次ぐ全国の3位に選ばれたほどの人気テーマパークです。

(※ 船橋市の指定管理者として、公益財団法人船橋市公園協会が公園の運営・管理を行っています。)
※ この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。
  数字の一部は概数、およその数で記述しています。
ふなばしアンデルセン公園 白鳥嘉幸氏に同公園の安全管理のしくみについて詳しく聞きました。
活用状況

Lightning Scope+を来園者の安全確保のために活用

ふなばしアンデルセン公園(以下 アンデルセン公園)ではLightning Scope+をどう活用していますか。

ふなばしアンデルセン公園では、平成15年にフランクリン・ジャパンの雷・気象情報システムを導入。
これを使って公園周辺の落雷状況や雨雲状況を把握し、来園者の安全確保に役立てています。

(システム画面のイメージ)

荒天時の対処は「閉園」「注意喚起」「一時退避」の3通り

ふなばしアンデルセン公園では、雷など荒天時には、どのような安全管理を行っているのでしょうか。

雷など荒天時の対処は大きく「閉園」「注意喚起」「一時退避」の3通りに分かれます。

もっとも重大な措置となる「閉園」については、「気象庁の特別警報が発令された場合は閉園する」という基準を取っています。これは逆にいうと「特別警報が出ないかぎり閉園しない」ということでもあります。つまり特別警報が出ていない場合は自助努力で園内の安全を確保します。

「注意喚起」「一時退避」の発動タイミング

「注意喚起」「一時退避」はどのタイミングで出すのでしょうか。

園内を中心とする半径20キロ圏内で落雷があった場合、管理センターのパソコンに入っているLightning Scope+が警報音を発します。
これに呼応して管理センターからは、次のような内容の園内放送を流して来園者に注意喚起します。

「ただいまアンデルセン公園の20キロ圏内で落雷がありました。野外での遊具の使用はご注意ください。なお10キロ圏内で落雷があった場合、遊具の使用は中止となります」

園内には非正規従業員も含め常時100人程度のスタッフが勤務していますが、これらスタッフも警戒モードに入ります。

その後、本当に10キロ圏内で落雷があった場合は、遊具を始めとする野外の施設使用をいったん中止します。また10キロ圏内で落雷があったということは、園内で落雷が発生する可能性もあるわけですから、お客様には速やかに近くの屋根のある建物の中に退避いただけるよう、スタッフが誘導します。

この一時退避は、「10キロ圏内に落雷がない」「雷鳴がない、稲光が目に見えていない」などの条件が揃ったところで解除します。

一連の手順の中では「注意喚起」「一時退避」などは基準が明確なので迷い無く行えます。最も難しいのは一時退避を解除するタイミングの判断です。

(落雷リアルタイム画面のイメージ)

選択理由

「一時退避」は発動より解除が難しい

「一時退避の解除」はなぜ難しいのですか。

一時退避の解除が難しいのは「原則的には簡単に解除するべきではないが、心情的にはなるべく早く解除したくなる」ということがあるからです。

まず「原則的には簡単に解除するべきではない」という点についてですが、仮に園内で雨がやんだとしても、あるいは晴れ間が見えたとしても、公園の風上方向にまだ雨雲があってそこで雨や落雷が発生しているようなら、一時退避を解除してはいけません。迷ったときには解除しない、常に安全寄りで判断する、というのが大原則です。

しかし来園者の心情としてはそうはなりません。多くのお客様は何日も前から来園を計画し、ご家族皆様で1日思い切り遊ぼうと思って来園していただいているわけです。10キロ圏内で落雷があったので一時退避というのはご納得いただけるとしても、退避が30分も1時間も続けばストレスが溜まってきます。

そんな心情のとき、すでに雨がやんでいるにも関わらず、一時退避が解除されないとなると、「どうして?」「雨も止んでいるし、もういいじゃないか」という気持ちになってきます。

そうなると園内の現場スタッフも心情的には早く退避状態を解除したくなります。というのも、お客様のいらだちの心情はスタッフにも伝わってきますし、せっかく遊びに来ているお客様を退避場所に閉じ込めているという、ある種の罪悪感のような感情も湧いてくるからです。「冷静な判断が重要、何よりも安全優先」と頭で分かっていても、心情的にはつい早めに一時退避を解除したくなるわけです。

一時退避の途中には、スタッフから無線で「一時退避の解除はいつ頃になるでしょうか」という問い合わせが頻繁に入ります。この問い合わせの背景には「お客様がストレスを感じているので、できれば早く退避を解除したい」という気持ちがあります。

実はその連絡を受ける管理センターのスタッフとしても、せっかくご来園いただいたお客様には存分に公園を楽しんで欲しいと思う点では、園内のスタッフと気持ちは同じなので、心情的にはなるべく早期に一時退避を解除したくなります。

このようにお客様、園内スタッフも、管理センターの職員の全員が、心情的にはつい退避解除の方に傾いてしまうのです。

効果・評価

客観的な事実を伝えることで納得感を高める

この課題についてはどう解決するのでしょうか。

感情を抑えるには「客観的な事実」に基づいて行動するほかありません。ここでLightning Scope+の情報が役に立ちます。

どんなに一時退避を解除したくなっても、どんなに目の前の空模様が安全そうに見えても、Lightning Scope+を通じて分かる周辺の気象状況に危険な要素がある場合は、やはり退避は解除してはいけません。

スタッフからの「退避解除はいつですか?」問い合わせには「まだ風上に雨雲があってこちらに近づいてきている。15キロ彼方で落雷も起きている。だからまだ解除はできない」というように根拠を以て客観的に伝えます。こういえばスタッフも納得してくれます。

そして現場スタッフは同じようにお客様に、「まだ雨雲があって落雷の危険があります」と伝えるわけです。
そうすればお客様にも納得していただけます。

ここで「今までの経験では…」とか「危ない気がするので様子を見よう」のような曖昧なことを言ってはいけません。
客観的な事実を伝えないと現場スタッフやお客様の理解と納得は得られません。

展開・期待

このようにLightning Scope+は、ふなばしアンデルセン公園のお客様の安全確保と説明責任の両面で非常に役立っています。
フランクリン・ジャパンには今後とも優れた技術とサービスを通じて当公園の安全運営を後方支援していただくことを希望します。
今後ともよろしくお願いします。

ふなばしアンデルセン公園様、本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

取材制作: カスタマワイズ