導入事例

header header

取材年月:2022年05月

JRE酒田風力発電所様

Introduction

JRE酒田風力発電所では、風車の安定稼働と作業員の安全確保、落雷があった場合の損害証明などの目的で「Lightning Station」を活用しています。
JRE酒田風力発電所(合同会社JRE酒田風力)
現場担当者の方々

Profile

ジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社が全国で展開する発電所のなかで、山形県酒田市の宮海海岸と酒田北港の水路沿いに位置するJRE酒田風力発電所。日本海の力強い風を受けて発電し、酒田市総世帯数の約1/4にあたる世帯の年間消費電力量を賄うことができます。
JRE酒田風力発電所の現場担当者の方々に、Lightning Stationを導入した背景や活用方法をお聞きしました。
活用状況

監視体制・目的

JRE酒田風力発電所ではどのように雷の監視を行なっているのでしょうか。

このあたりは日本海側からの強い風が流れ込む地域で、当発電所もその恩恵を受けて発電しています。同時に雷雲も発生しやすいエリアでもあり、特に11月から3月頃の期間は、冬季雷が多発します。

当発電所は2019年に「Lightning Station」を5ライセンス導入しました。事務所では常時1台のパソコンで落雷情報を監視するとともに、雷雲が近づいている時は作業員がスマートフォンで監視しています。

「Lightning Station」で落雷監視を行う主な目的を教えてください。

理由は3つあります。

1. 風車の安定運用

風車の安定運用のために落雷監視は必須です。今でこそ落雷を感知して自動で電源が落ちる仕組みや、雷電流を地上にスムーズに流す技術導入などが進んだため、ここ数年で大きな被害はありません。それでも安全対策の基盤として、精度の高い落雷情報の収集が求められます。

2. 作業員の安全

作業員の安全を確保するうえでも、落雷監視は重要です。そのためには、事務所のパソコンで監視できるだけでなく、作業員が現場(風車のナセル内など)で確認できる仕組みが求められます。

3. 保険求償の証明

落雷によって風車が被害を受けた際、保険求償を行うときに「いつどこで落雷が発生した」という証明を提出しなければなりません。そこで、精度の高い落雷情報の記録が重要になります。

 

運用方法

「Lightning Station」の運用方法を教えてください。

日々の気象情報を確認し、天候が崩れそうなときは事務所のパソコンで「落雷リアルタイム」画面を常時表示しておきます。

黄色い枠内の注意エリア内で発雷した場合、アラームが鳴りますので、それを受けて作業員に連絡。作業員は自分たちのスマートフォンでも「Lightning Station」で状況を確認しながら、すぐに作業を終えて避難できるように整えます。

赤い枠内の警戒エリアで発雷した場合、やはりアラームが鳴りますので、作業員に連絡し、ただちに作業を中止するようアナウンスします。

また、雷が原因と思われる事故やトラブルが見つかった場合は「過去の落雷検索」画面が有効です。過去1年間の落雷情報を検索でき、日時や発生場所の経度と緯度、電流値まで表示できます。

選定理由

導入以前の課題

「Lightning Station」の導入以前はどのような方法で落雷監視をしていましたか?

当初は東北電力さんが提供する雷情報を参考にしていました。しかし、情報としての精度は決して高いといえるものではありませんでした。さらに、雷発生時はアクセスが集中してサーバーが遅くなってしまうことも…。雷の予測はできず落ちた実績しかわからないのも難点で、過去情報の検索機能もなかったため、落雷の証明をとることも難しかったです。

また、モバイル端末での確認もできませんでした。そのため、雷雲が近づいていることに気づかずに作業員が風車のなかで作業を進めるなか、実際に風車に落雷したこともありました。幸い作業員に被害はありませんでしたが、もし風車そのものの雷保護対策ができていなかったらと思うと恐ろしいですね。

 

他社製品との比較

落雷監視サービスの導入にあたり、他社製品との比較検討はされましたか?

今お話した課題を解決するため、Lightning Stationの導入前からフランクリン・ジャパン社の別サービスを導入していました。落雷情報としての精度は非常に高く満足でしたが、閲覧環境が制限されてしまうこととコスト面の2点が悩ましく、要件を満たす別のサービスを検討していました。

ちょうどそのとき、他社さんから提案をいただき、1年ほど別のサービスをテスト導入してみたこともあります。スマートフォンでも確認でき、なおかつ複数のライセンスを当時利用中のサービスより低コストで使えるということで、乗り換えようか悩みましたね。しかし、それは気象庁のデータを活用したシステムでした。データの精度については公開されておらず、落雷の実績を証明するには厳しいという側面がありました。

 

選定の決め手

「Lightning Station」を導入した“決め手”を教えてください。

やはりなんといってもフランクリン・ジャパン社ならではの「精度の高さ」が決め手になりました。「何時何分にどこに落ちた」ということが詳細に分かり、なおかつ予測情報の確認や過去の情報の検索も可能です。

また、スマートフォンでも確認できるようになった点も導入を決めるうえでポイントになりました。

さらに、今回の対象エリアとなる酒田風力発電所だけでなく、南側に位置する鶴岡八森山風力発電所も監視対象エリアとしてカバーしてくださるなど、さまざまな提案をいただき、「Lightning Station」の導入を決めました。

効果・評価

評価

「Lightning Station」を導入いただいてからの率直な感想を教えてください。

正直なところ、最初のうちは使いづらいと感じるところもありました。

まず、私たちが主に監視すべきエリアは風が流れてくる方向。つまり、日本海側です。逆に風が通り過ぎた後の陸側を監視しても意味がないのです。しかし、導入当初は発電所を起点として円状のエリアを監視していたため、余計な警報が鳴り、混乱していました。

それを営業さんに伝えたところ、日本海側のみを監視対象として、監視エリアを半円状にカスタマイズしていただけました。これにより、かなり運用は楽になりました。

また、雷雲の移動方向が矢印でわかるようになった点も非常にいいですね。雲の流れが可視化され、今後の予測を立てやすくなりました。

 

 

これまで「Lightning Station」を使っての評価をお聞かせください。

使い勝手やライセンス数、費用面など、さまざまな要望に応えていただき、本当にいろいろ頑張っていただきました。

その結果、当事務所以外でも導入が広がり、現在はJREが運営するほぼ全ての事業所で導入しています。

サービスとしての精度だけでなく、提案力や、改善要望に応えようとする姿勢など、導入後の顧客に寄り添った伴走支援も評価できるポイントだと思います。

展望・期待
フランクリン・ジャパンへの今後の期待をお聞かせください。

落雷監視において、雷雲が近づいてくる方角・規模に対して監視エリアの形状を変化させて(例えば扇型など)監視できるようになるとありがたいですね。雷雲はだいたいが海側からきますが、北側からくることもあれば、南側からくることもありますので。

また、2022年4月から再生可能エネルギーの電力買取の制度として、これまでの「FIT(固定価格買取)」に「FIP」が追加され、今後は「FIP」に移行していく見込みです。電力市場の競争が激しくなるなかで、価格に付加価値をつけるためには「風速の予測」が重要になります。

今後は落雷情報に加え、10分単位で予測できる精度の高い風速情報の提供にも期待しています。

JRE酒田風力発電所様、本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

取材制作: カスタマワイズ