2019.12.13

フランクリンの雷実験

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ベンジャミン・フランクリンは、雷が電気であることを実験によって証明しました

実業家として成功を収めたあと、科学者に

当サイトのナビゲーターのモデルでもあるベンジャミン・フランクリンは18世紀アメリカを生きた人物です。彼は、実業家、政治家、科学者、著述家とさまざまな顔を持っていましたが、その功績として有名なもののひとつが、雷の実験です。

もともと、アメリカの貧しい家庭に産まれたフランクリンは、10代で印刷会社に奉公に出たのち、印刷工、記者、編集者として頭角を現しました。

その後、自ら印刷会社を興して成功させ、十分な富と名声を得て事業から引退しました。
40代にして十分な時間を自分や社会のために使える身分になったため、フランクリンはかねてから興味を持っていた科学分野で研究に没頭するようになったのです。

 

18世紀は電気の時代

フランクリンの生きた18世紀は、電気が知的階級から注目され始めた時代でもありました。といっても、現在のように電気をエネルギー源として使おうとしたのではなく、「電気興行師(エレクトリシャン)」という職業の人が静電気を使った手品をしたり、医療の手段として使ったりしていました。

そういえば日本でも、長崎に医療機器として入ってきた静電気発生装置を平賀源内が修復し、それが「エレキテル」という名前で注目を浴びたことはよく知られていますよね。これもやはり18世紀後半の話です。

フランクリンも電気に魅了された人のひとりです。彼は熱心に電気実験用の器具を集め、電気の研究に没頭しました。フランクリンの集めた器具の中にはライデン瓶と呼ばれる、電気をためることのできる器もありました。当時は蓄電池が発明されていなかったので、ライデン瓶が電池の代わりでした。このライデン瓶が、のちの雷の実験にも使われることになります。

 

雷は電気であることを実験で証明

さて、「雷の正体は電気である」ということは、現在では常識です。しかし、昔はその正体は大きな謎でした。18世紀に電気が注目を集めるにつれて、「雷の正体は電気なのではないか」と世の中の多くの人が推測するようになったものの、それを証明することは誰もできなかったのです。

そこでフランクリンは、雷の正体が電気であることを証明するための実験を考案し、1749年に英国王立協会の会員である、植物学者のピーター・コリンソンに手紙を送ってその方法を提案しました。
すると次第にこの実験がヨーロッパでも話題になり、1752年にはフランスのダリバールがフランクリンの提案した実験に成功します。
さらに、フランクリン自身も1752年にアメリカで実験を行い、雷が電気であることを証明しようとしました。

このとき、フランクリンが実際に行った実験とは、このようなものです。
まず、絹でできた、雷雨でも破れない凧を作ります。そして、そこから垂らした糸に、鍵を結びつけます。この凧を雷が発生したときにあげると、フランクリンの狙い通り鍵が帯電して、ライデン瓶に電気を蓄えられたのです。

フランクリンが実験に成功した後も、この実験は多くの学者によって繰り返されました。そして、雷の正体が電気であることが証明されたのです。

ちなみに、この凧を使った実験は、真似をしようとして感電し、亡くなった人もいました。雷の持つ電気のエネルギーの大きさ、危険さが十分に明らかになっていなかった時代だからこそできた実験なのかもしれません。非常に危険ですので、皆さんはどうか真似しないように気をつけてくださいね。

 

今井明子[気象予報士/サイエンスライター]

 

参考文献:
「ベンジャミン・フランクリン」池田孝一訳、亀井俊介解説 研究社
「ベンジャミン・フランクリン、アメリカ人になる」ゴードン・S・ウッド著、池田年穂・金井光太朗・肥後本芳男訳 慶應義塾大学出版会
「雷をひもとけば」 新藤孝敏 電気学会
「学生と教師のための電磁気学史」小林一夫http://www.ed.niigata-u.ac.jp/~itoh/EMhistoryv5.pdf
「雷害対策の歴史」一般社団法人日本雷保護システム工業会