2024.12.17

雷の色

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雷光は黄色い色で描かれることが多いです。しかし本当に雷は黄色なのでしょうか。
そもそも、雷はなぜ光るのでしょうか。

雷はなぜ光るのか


雷の正体は非常に強い電気です。放電の際には2万~3万A(アンペア)・約1億V(ボルト)という大きなエネルギーが加わります。(参考:雷のエネルギー)これだけ大きなエネルギーが加わると、空気中の電気の通り道となる空気の温度は約1~3万℃になります。太陽の表面が6000℃ですから、かなりの高温だということがおわかりでしょうか。ほとんどの物質は500℃を超えると光り始めます。それで雷の通り道が光って見えるのです。これが雷光の正体です。

雷の色は黄色なの?

さて、雷光は絵では黄色に描かれることが多いのですが、実際の雷の写真を見ると、青白かったり、オレンジ色だったりとさまざまです。雷の色の決め手のひとつは、雷の通り道の温度と深くかかわっています。

実は、光源の温度と光の色は深いかかわりがあります。たとえば夜空を見上げてみると、星には赤いものもあれば青白いものもあることがわかります。これは星の表面の温度が違うので色が違って見えるからです。一般的に、500℃を超えるとくすんだ赤色になり、1300℃を超えると赤色から変化して太陽の表面温度である6000℃程度だと黄色に、それよりも高い温度だと白くなっていき、次第に青白くなっていきます。雷の通り道の温度は1~3万℃なので、青白い色に光ります。

さらにもうひとつ、雷の色を決める要素があります。それは大気中に浮かんでいるチリやホコリです。これらに雷光がぶつかると、光が散乱します。その際に青や紫などの波長の短い光の成分より、赤やオレンジなどの波長の長い成分のほうが遠くまで届きます。これは、昼間の空が青かったり、朝焼けや夕焼けの空の色が赤かったりする仕組みと同じです。ですから、近くで発生している雷は青白く見え、遠くで発生している雷の雷光は赤っぽく見えることが多いのです。なお、気象条件で大気中に浮かんでいる粒子の密度や大きさが変わり、それに伴って光の散乱の度合いも変わってくるため、雷の色も変わっていきます。

こうしてみると、雷の色は黄色という単純な色ではなく、さまざまな色に見えるということがわかります。雷光を見るのは怖いかもしれませんが、安全な場所にいるのであれば、窓越しにどんな色に見えるか観察してみるのも面白そうです。

 

今井明子[気象予報士/サイエンスライター]
X(@imaia78)

参考文献:
「電気の疑問66 みんなを代表して専門家に聞きました」オーム社 編、電気の疑問EXPERTS  著 オーム社
学研キッズネット なぜ、雷はジグザグに光るの?(https://kids.gakken.co.jp/kagaku/kagaku110/science0317/