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雷トピックス
2023.04.06
世界一雷の多い場所
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世界の雷分布がわかるようになり、雷が多く発生する場所もわかるようになりました。では、世界一雷の多い場所はいったいどこなのでしょうか?
灯台代わりになった夜の雷
世界一雷の多い場所は、ベネズエラのマラカイボ湖です。マラカイボ湖のあるカタトゥンボ川河口付近で深夜に雷が多く発生することは昔から知られてきました。この場所の雷は「カタトゥンボの灯台」と呼ばれており、大航海時代の船乗りが、雷を灯台代わりにしていたという言い伝えもあります。
では、この場所の雷が多さはどの程度なのでしょうか。マラカイボ湖では、1km2あたりの雷発生回数のギネス記録は年間で約250回で、年間落雷日数300日です。つまり、ほとんど毎日雷が発生しているということです。しかも、年間200回を超える雷発生日数の範囲は20km四方程度しかありません。つまり、非常に限られた地域に雷が集中しているということなのです。
さらに、マラカイボ湖の雷で特筆すべきなのは夜発生するということです。多くの地域では、雷は16~18時に発生しますが、マラカイボ湖では深夜1~2時がピークなのです。
こんなに狭い範囲で稲妻が毎晩のように見えていたら、確かに「灯台」とよばれてしまうのも納得ですね。
なお、日本では、2022年の年間落雷密度が最も高いのは栃木県で1km2あたり7回。そして、2022年の年間落雷日数1位は新潟県の128日です。そう考えると、マラカイボ湖の雷がいかに多いかがよくわかります。
(参考)
・雷ランキング:2022年 年間落雷日数 / 2022年 年間落雷密度
雷が発生しやすい地形の秘密
なぜ、マラカイボ湖ではここまで雷が多いのでしょうか。それは地理的な要素が大いに影響しています。この場所はアンデス山脈に東・西・南の三方を囲まれており、開けた北側がカリブ海に面しています。
マラカイボ湖の雷の多い時期は8~10月です。特にこの季節、カリブ海の水蒸気を含んだ湿った風が昼過ぎからマラカイボ湖に吹き込むようになり、マラカイボ湖からも水蒸気の供給を受け、風は夕方ごろに南西部の山付近に到達します。そして、日没後から深夜にかけては山肌によって冷やされた空気が山を駆け下り、それがカリブ海からの暖かく湿った風と出合います。すると大気が不安定になり、カリブ海からの風が上昇して、夜間に雷雲が発生するのです。まさに、天然の雷発生装置というべき地形なんですね。
今井明子[気象予報士/サイエンスライター]
ーTwitter(@imaia78)
参考文献:
「雷の疑問56」鴨川 仁・ 吉田 智・ 森本健志 共著 成山堂出版
「稲妻と雷の図鑑」吉田 智 著 グラフィック社
Highest concentration of lightning(ギネス記録)(https://www.guinnessworldrecords.jp/world-records/highest-concentration-of-lightning-)
世界一カミナリの多い村(世界仰天ニュース)(https://www.ntv.co.jp/gyoten/backnumber/article/20171017_12.html)
世界で最も雷が多発、南米マラカイボ湖 稲光は集落の「灯台」(AFP)(https://www.afpbb.com/articles/-/3368184)
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