天気予報を活用

気象情報を上手に活用して雷に備えましょう

前日~数日前

「大気の状態が不安定」が雷雨となるひとつのキーワードです。

雷が発生する代表的な条件の一つに上空に寒気が入り、大気の状態が不安定といったものがあります。
天気予報などでも「明日は大気の状態が不安定となるため、午後は雷を伴って激しく降る所があるでしょう」のようなコメントを耳にしたことがある人は多いと思います。
大気の状態が不安定になると雷をもたらす積乱雲が発達しやすくなります。天気予報で「大気の状態が不安定」という言葉が出た日は注意が必要です。
ただし、雷の正確な時間と場所を予測することは非常に難しいため(コラム参照)、「今日(明日)の天気予報」では、「昼すぎから夕方ごろにかけて所により一時雷を伴う」のような表現にとどまってしまいます。このため、雷が予想される日は、こまめに最新の気象情報をチェックするのがおすすめです。


当日

短時間の予報には現在の雨雲の状況を知ることが重要です。

雷が予想されている日はどのような情報を見ればいいのでしょうか?

どれほど「大気の状態が不安定」になっても雷雲の発生は局所的です。また、広範囲で発生したとしても“まばら”に発生します。雷雲に襲われる時間も数10分程度から長くて数時間程度と様々です。数キロ先では激しい雷雨となっていても自分のいる所では、青空が広がっているということもあります。

実際の空を見ること、つまり観天望気が非常に重要であることは言うまでもありません。しかし、雷鳴が聞こえたらすぐ近くまで雷雲が迫っていることがあります。十分な対応を取るためには、もう少し早い段階で詳細な気象情報を入手する必要があります。

気象庁ホームページの「雨雲の様子」やyahoo!などのページやスマートフォン向けの気象情報アプリから気象レーダー※による降水の情報を得ることができます。また、現在の落雷状況を表示しているサイトもあります。
これらの情報を活用して、周辺の雨雲の状況や予測情報を把握することで、より早い段階で雷雲の接近を知ることができます。

なお、降水の強さと雷の発生とは相関関係がある場合が多く、夏であれば「1時間あたり30㎜以上」の強さの雨になると、高い確率で雷を伴います。このため、雨脚の強まっている所に注目してこれからの雨雲の動きを見るのもよいでしょう。

気象レーダー:雲の中の雨(雪)粒を捉え、現在の降水が1時間続いた場合の降水量に換算した降水強度というもので雨の強さや雨雲の分布を表現します。


気象庁の発表している「雷注意報」と「雷ナウキャスト」についても知っておきましょう。

雷注意報

“雷によって、災害が起こるおそれがある場合にその旨を注意して行う予報”です。基本的には、雷が発生する前の段階で発表されるもので、「数時間前」から、「広範囲」に発表されることが多い情報です。

雷ナウキャスト

雷の激しさや可能性を「活動度」として4段階(1~4)で表している情報です。(https://www.jma.go.jp/jp/radnowc/)これは、気象庁の雷監視システムによる雷検知などを基にした雷の予測情報です。ただし、実際に落雷が発生している地点を示しているわけではない、ということに注意しなければなりません。また、新たに発生・発達する雷雲を予測しているわけではありませんので、「活動度」1~4になっていない地域でも落雷が発生する場合があります。

雷の予測が難しいのは、スケールの小さい局地的な現象のためです。

テレビやインターネットで得られる「天気予報」は、「数値予報」という手法で計算された結果を基に発表されています。「数値予報」とは、風や気温などの時間変化をコンピュータで計算して将来の大気の状態を予測する方法です。これにより、天気予報の技術はかなり発展し、高い確率で当たるようになってきました。
しかし、スケールの小さい現象についてはまだまだ予測が難しいのが現状です。雷は時空間スケールの小さい現象です。雷の発生しやすい大気の状態はある程度予測できるものの、“いつ、どこで、どれくらいの規模で発生するのか?”を明確に予測出来ないのはこのためです。