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雷トピックス
2025.05.23
雷の音
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雷といえば、鋭く光る稲妻はもちろんのこと、寝ていても飛び起きるほどの大音量の雷鳴も特徴です。
雷の音はどんなしくみで発生しているのでしょうか。
雷の音から落雷場所への距離がわかる
雷はピカッと光ってから数秒後にゴロゴロという音が聞こえます。これは、光と音の速度の違いによるものです。光の速度は約30万km/sですが、音の速度は約340m/sです。光は一瞬で目に入ってくる一方で、音は伝わるまでに時間がかかります。ですから、光ってから音が鳴るまでにかかった秒数で、雷が落ちた場所からの距離がわかります。ただし、頭上に積乱雲があれば、次の瞬間に自分の居場所に落雷する可能性があるので、たとえ雷からの距離が数km離れていたからといって安心してはいけません。
雷の音はどうやって発生する?
さて、雷のゴロゴロという音はどのようにして発生するのでしょうか。それは、積乱雲と地上との間で放電を行う際に空気中にできる放電路が暖められることで発生します。落雷するときは、放電路に何万Aという大電流が流れます。すると、放電路は数万℃にまで気温が上がります。気温が高くなると、放電路の気圧が急激に上がり、地上気圧の10倍程度になります。すると、この高圧のために放電路の周辺の空気は急に膨張するのです。この膨張のスピードが音速よりも早いため、衝撃波が発生し、衝撃波がもととなって音波が発生して、私たちの耳にゴロゴロという音が届くのです。
なお、雷との距離で、聞こえる音も違ってきます。雷が近くに落ちると、鋭い音が聞こえます。それはビリビリという布を裂いたような音やピシッという鞭を打ったような音とたとえられます。そして、落雷した場所からある程度離れていると、ゴロゴロという音が聞こえます。これは、雷の放電路のさまざまな場所で生まれた音が、少しずつタイミングがずれて伝わり、重なって聞こえるからです。
雷由来の言葉
大空にとどろく雷鳴は昔からさまざまなものにたとえられてきました。たとえば、「万雷の拍手」とは、劇場にいる人々が惜しみなく拍手を送る様子を雷鳴にたとえた言葉です。「蚊雷(ぶんらい)」という言葉もあります。これは、蚊が群がって飛ぶときのうなりのことをいいます。雷のような大音量ではありませんが、想像するだけでうっとうしいですね。
「付和雷同」という四字熟語もあります。これは、自分にしっかりとした考えがなく、他人にすぐ同調するという意味ですが、雷が鳴るとほかのものもそれに応じて響く様子にたとえたものです。耳をつんざくようなバリバリという音、そして腹の底まで響くようなゴロゴロという音。昔の人が太鼓を持たせた雷神を描いたのも納得です。
今井明子[気象予報士/サイエンスライター]
ーX(@imaia78)
参考文献:
「雷の疑問56」鴨川 仁・ 吉田 智・ 森本健志 共著 成山堂出版
「雷」小林文明 著 成山堂出版
「雷をひもとけば-神話から最新の避雷対策まで」新藤 孝敏 著 電気学会
学研キッズネット なぜ、雷はゴロゴロ鳴るの?(https://kids.gakken.co.jp/kagaku/kagaku110/science0314/)
九州電気保安協会 カミナリの正体は何?(https://kouhou-qdh2.jp/blog/347.html)
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